今日の日経25面より

村上隆の講演

(前略)

欧米ではアートはヒエラルキー(階層)の頂点に立つ贅沢な文化の代表だ。ところが、私たちはいわゆる「お宅文化」の象徴である、フィギュア人形を等身大にして飾ったりした。漫画やアニメやオタク文化は日本でも底辺というか、決して上流のものではなく、贅沢とは無縁でリーズナブルだ。
(中略)
戦後の日本は階層と富の集中が消え、フラット(平等)な社会になった。それがアニメや漫画、テレビのお笑い、オタク文化などを生む土壌になったのだが、日本では毎日、面白おかしく接しているものについてそんなに詳しく説明しない。
だが、厳然とした階層が残る西洋社会では、ひとつひとつ、意義、意味、歴史的な位置を事細かに解明しないと気が済まないところがある。つまり、それをすれば、彼らの文化の中にくさびを打てる。意味や背景を解明して法則化すればサブカルはアートになる。
(後略)

「アイデアのもとは日本にあるのに、欧米で商業化、ビジネス化される。それをわれわれは意識してこなかった」
とも。